適応障害で休職したまま、復職せずに電話とメールで退職手続きを終えた話【公務員】

メンタルの不調から休職に入り、一旦は職場の最前線から距離は置けても、そこからまた再度復職するとなると、やはり精神的な負担は大きいものです。

復職の見込みがなかなか立たない。
このままズルズルと休職を続けるのもしんどい…。

となると、
「いっそ復職せずにこのままスパっと退職して、新しいスタートを切りたいな」
なんて気持ちも出てきます。
(ぼくは1度休職を延長した際の負担で体調を崩し、すぐにそう思いました。)

そこで問題となるのが、休職したままの状態で退職手続きってできるの?ということ。

まず結論ですが、休職中から復職せずそのまま退職することも可能です。

とはいえ、具体的な話の進み方のイメージがわかないと、やっぱり何かと不安ですよね。

あくまでぼくのケース(地方公務員・行政職)での話になりますが、退職手続きに関する体験談をまとめてみますので、参考にしていただけると幸いです。

休職から退職までの過程

ぼくが休職に入ったのは2021年の11月末、退職したのは2022年の3月末でした。

およそ5ヶ月の休職期間でしたが、そのうち退職手続きに要した期間と言えば、大体2週間くらいでしょうか。

休職に入ってから退職するまでの流れをざっくりまとめると、こんな感じになります。

  • 2021.11月末 休職する
  • 2021.12月末 休職を延長する
  • 2022.1月中旬 退職の意向を職場に伝える
  • 2022.1月末 主治医にも相談する
  • 2022.2月上旬 退職手続き書類を送る
  • 2022.3月末 正式に退職完了

順を追って見ていきましょう。

2021.11月末 休職する

まずは休職に入ったところから。
ぼくの場合の休職事由は、適応障害でした。

適応障害(てきおうしょうがい、英: Adjustment disorder:AD)とは、はっきりと確認できるストレス因子によって、著しい苦痛や機能の障害が生じており、そのストレス因子が除去されれば症状が消失する特徴を持つ精神障害である。

出典:wikipedia

「心身が限界なのでしばらくお休みをください…」
と職場に伝えて精神科を受診し、診断書をもらってそのまま休職に入った形です。

このときに自分がしたことといったら、診断書をスキャンしたPDFをメールに添付して上司へ送ったくらいで、あとの休職に係る手続きは職場の方でよろしくやっておいてくれました。

ぼく

しんどい時期だったので、スムーズに休職に入れてとても助かりました…。

2021.12月末 休職を延長する

当初の療養予定期間は年末までの1ヶ月ちょっとだったのですが、
「もう少しで辛い職場に復帰しなければならないのか…」
などと考えだすとめちゃくちゃ気分が落ち込み、結局さらにもう1か月休職を延長することになりました。

休職に入ったころのぼくは、

  • すぐに退職して公務員以外の道へ進む
  • とりあえず復職してもう数年は公務員として頑張る

のどちらの選択肢を取ろうか、なかなか決めあぐねていたのですが、休職を延長したこの頃からグッと退職の方に気持ちが動いていったのを覚えています。

復職へのハードルが思っていたよりも高く、このまま休職の延長を繰り返しながら療養生活を続けるのが途方もない苦行に思えたからです。

手続き的には、病院で主治医の先生に「復帰無理そうです…」と伝えたところ、「分かりました」と延長の診断書を出してもらえました。
それを職場にメールで送ったところ、こちらも「分かりました」とすんなり休職延長させてもらえました。

この辺もわりとスムーズでしたね。

2022.1月中旬 退職の意向を職場に伝える

年を明けたあたりのぼくは過去最大級に沈んでいたのですが、気持ちはやはり退職の側へ傾く一方でした。

そんな中、上司から「一度直接面談できないか」とメール連絡があり、職場の会議室で1対1で話す機会があったのです。

このときの内容としては、主に次年度以降の人事異動関係に関するお話でした。

具体的に伝えられたのは、

  • 復帰した後になるべく負担の少ない部署へ異動できるように、人事所管課に掛け合ってくれていること
  • 次年度から異動する場合は、年度末の約1ヶ月前には復職しておく必要があること
  • 上記のこともふまえたうえで、主治医の先生とも相談しつつ今後どうするか考えていってほしいこと

などなど。

そしてぼくが上司に退職の意向を伝えたのは、この面談のときです。

ぼく

せっかく色々と気にかけていただいているところ大変申し上げにくいのですが…。
実は今年度限りで退職したいと考えています。

と、なかなか気まずいタイミングでしたが、ひとまず承知してくれました。

後日、その連絡を受けたらしい所属長からも直接ぼくのもとへ電話があり、改めて退職の意思の確認がありました。

このとき所属長が心配してくれていたのが、「主治医の先生としっかり相談したうえでの結論なのか」という点。
要するに、精神的に正常でない状況なのにあまり大きな決断を一人でしてしまうのは危険じゃないか、という心配ですね。

ちなみにこのときは、主治医にはまだ特に退職の話はしていませんでした。

そういうわけで所属長とは、
「最終的な退職の手続きは主治医との相談も終えてからにしましょう」
という話にまとまりました。

念のため相談も経て自分の中でもじっくり考えて、改めて結論を聞かせてね、と。

先の面談でもこの電話でも、とにかく実感させられたのは、
「こんな自分のために多大な調整と配慮をいただいているんだなぁ」
という有り難みでした。

2022.1月末 主治医にも報告する

上司への退職表明を済ませた翌週くらいには、ちょうど定期受診のタイミングがあったので、早速主治医にも話を通しました。

ぼく

かくかくしかじかで、今年度いっぱいで退職して新しいスタートを切りたいと思っています。
職場に伝えたところ「念のため主治医の先生にも相談を」とのことだったので相談しました!

主治医

なるほど、そうなんですね。
まあ小林さんの人生なので、ご自分で決めたことに対して私が止める権限はないですから。

とこんな感じで、あっさりと退職の方針は決まりました。

ぼくの主治医の先生は全体を通して「本人の希望を最優先」といったスタンスを一貫しておられたのですが、他の方の体験談など見ていると、どうもこのあたりは医師によってかなり考え方の幅が大きいみたいですね。

先生によっては、
「今の状況で大きな決断をすべきではないから、まずはしっかり時間を使って休みなさい
とか、あるいは逆に休職延長を希望しても、
「もう症状は回復してるんだから、いい加減復職しないと先に進めないよ」
とか、結構積極的に本人の意思決定に介入されるような場合もあるようです。

もしぼくが同様にこのとき退職の出鼻をくじかれていたら、きっとかなり意気消沈してしまっていたと思うので、自分の場合は主治医の先生の放任主義が肌に合っていたなぁと回想しています。
まあ、当時のぼくが大きな決断ができるくらいには体調が戻っていたという先生の判断もあったのかもしれませんね。

ともあれ、この段階で自分の中の迷いも消え、退職の方針が100%固まりました。

主治医

退職までの復帰が難しそうなら、このまま年度末まで休職延長の診断書も出しときますね~

ということで、2度目の休職延長もあわせて行い、休職を継続したまま退職という最後を迎えることとなったわけです。

2022.2月上旬 退職手続き書類を送る

医師とのやりとりを上司へ伝えたところ、「そういうことなら仕方ないね」ということで、早速退職のための手続き書類を郵送してくれることになりました。

手続き書類といっても、退職願の紙一枚書くだけです。
名前と日付を書いて、ハンコをついて、職場宛てに返送して終わり。

退職願を送った後は特にそれ以上のやり取りはなく、後日退職者向けの書類(健康保険とか退職金の関係)が送られてきた際に対応したくらいだったかと思います。
その辺の書類はもう給与とか共済組合の担当課との直接のやりとりなので、迷惑をかけた職場の上司との連絡に比べればいくらか気が楽でしたね。

2022.3月末 正式に退職完了

そのまま月日は流れ、気が付いたらいつの間にか退職日が過ぎていた、というくらい何事もなくサラッとぼくは退職しました。

退職前3月中旬くらいに上司からメールがあって、退職者の辞令交付式に出席するかを聞かれたのですが、これは謹んでお断りししています。
(ほとんど定年退職者ばかりで気まずいでしょうしね。)

またこのとき、「退職前に一度職場に顔を見せにくるか?」といった趣旨のこともやんわりと聞かれました。

職場のみなさんには大変お世話になったし、最後に挨拶の一つでもしてから退職するのがケジメだよな…と、これについてはそれなりに悩んだものの、結局ぼくは職場へ挨拶に出向くこともなくそのまま退職する選択をしました。

自分の体調のことを思うと、やっぱり行きたくない気持ちが勝ったからです。

↓この時に考えた自分なりの結論はコチラで書いています。

ぼくがこなしきれなかった業務を引き継いでくれた同僚の皆さんや、療養中に多大なサポートを頂いた上司の皆さんに対して、ロクにお礼や謝罪もできずに逃げ去ってしまったことについては、やっぱり後ろめたい気持ちはあります。

しかし一方で、実際はそんなことをいつまでも気にしていられないくらい、みんな忙しく日々をこなしているんじゃないでしょうか。

職場からすれば、いなくなった同僚よりも、目の前の仕事。
ぼくからしても、辞めた仕事よりも、これからの生活。

そういうと冷たく感じてしまいますが、いい意味で、過去より未来が大切ということです。

就職も休職も退職も、あくまで長い人生の、ささいな通過点のひとつでしかないと思うのです。

ぼく

以上が、ぼくの休職から退職までのざっくりとした流れです。

2022.9月上旬 私物とか受け取り

余談になりますが、退職から約半年が経とうという頃、
「職場に私物が残っていたから取りに来てね」
というメールが上司からありました。
(デスクの引き出しに入っていた名刺入れとハンコでした。)

あわせて、課の親睦会からの退職祝い的なお金や、コロナ渦で飲み会が延期続きだった分のキャッシュバックがあるとのこと。

おそらく半年越しの連絡になるのも仕方ないくらい、現場は年度初めの激務に忙殺されていたのだと思います。
そんな中わざわざメールをさせてしまい申し訳ない&ありがたい限りです。

退職から少し経ってようやく体調も回復してきたのを実感している頃だったので、本当は今度こそ挨拶回りでもしたらいいのでしょうが、やはり何かと不安が大きく、結局上司と1対1で目立たない場所で待ち合わせをさせてもらう形となりました。

ソワソワと周りを気にしながら「おかげさまでだんだんと良くなってきました」と頭を下げるぼくと、「良かったね、頑張ってね」と封筒を渡してくれる上司。

今のところ、この私物受け取りの日が公務員の世界との最後の関わりになっています。

絶望に沈みまくっていた休職当時に比べると、色々あって何やかんやで結構爽やかな気持ちで前に進めたのかな、とも感じる今日です。

まとめ

というわけで、ぼくが休職に入ってからそのまま退職するまでの手続き的な流れをまとめてみました。

改めて回想してみると、人に恵まれたおかげで全体的にかなりスムーズに希望通り進んだな、という印象です。

それでも渦中にいた当時のぼくにとっては、
「退職ってどんな手続きが必要なの?」
「いつまでに申し出たらいいの?」

といった具合にとにかく分からないことだらけで、療養しながら手続きのことで悩むのは結構しんどいものでした。

ひとつのケースではありますが、似た境遇の方にとって何か少しでも参考になれば嬉しく思います。

他にもイメージできないこと、不安なことがあれば、気軽に教えてくださいね。
体験をもとに少しづつ、記事にしていけたらと思います。