今回は、ぼくが過去に受けた公務員試験の体験談です。
公務員として採用されるまでには、
① 一次試験:筆記試験(専門科目、教養科目)
② 二次試験:個人面接、集団討論、論文課題など
と大きく2つのステップがありますが、この記事では二次試験のうち「集団討論」の部分に焦点を当てています。
集団討論。
なかなか経験する機会はないし、結局は当日一緒に受験するメンバーによって議論の方向性が大きく変わるので、事前にどんな対策をするべきか困ってしまいますよね。
(ぼくはあまり深く考えるのは止めて、ほぼ対策なしで本番に臨みました。)
- 集団討論の規模や雰囲気
- 提示されたテーマと実際の議論の内容
- 司会(進行役)を務めることについて
この辺りを実体験をもとに振り返っていきますので、これから試験を受ける方の参考になれば幸いです。
試験の流れ
まずは大まかな流れについてです。
集団討論の方法については自治体ごとにかなり大きく違うと思うので、あくまで一例ということでご容赦くださいね。
会場の様子
試験会場に入ると、レイアウトは次のような感じでした。
一緒に参加する受験者6名が向き合う配置で、両端には試験官が2名ずつ。
受験者にはあらかじめA~Fの記号が割り振られていて、着席位置のほか、討論中の呼び名などもこれに従う形です。
時間配分と役割分担
開始とともに、面接官から試験内容について指示がありました。
これから議題をお示ししますので、10分間は各々で自分の意見や提案を考えてまとめる時間としてください。
その後、全体での討論を30分間行っていただき、時間が来た時点で試験終了となります。
討論の進行役は、Aの記号を割り振られている方が務めてください。
そのほか書記などは特に立てる必要はありません。
グループ全体で協力して、建設的な討論となるようにしてください。
ぼくは「A」を割り振られていたので、後の討論において司会(進行役)として議論をまとめる立場となりました。
役割分担は立候補制のイメージがあったので、いきなり指名されて内心ビビりました。
そして討論の議題というのが、こちらです。
昨今、少子高齢化による労働人口の減少が問題となっている中で、女性や高齢者のさらなる社会参画の重要性が増している。
こうした課題に行政としてどのような取り組みを行うべきか、グループで意見をまとめなさい。
集団討論中のこと
シンキングタイムの10分で、
- 議題に対する自分の意見
- 進行役として討論をどのように進めていくか
についてまとめました。
面接官は、
「それでは全体での討論に移ってください」
と合図する以外は一切口を挟まずにメモに専念していました。
議論の流れ
討論フェーズでは、進行役ということで、ぼくから口火を切ることに。
ではよろしくお願いします。
まずは各人でまとめた意見を、順番に一通り出し合っていきましょうか。
最初は私から発言しますので、次はBさん、Cさんと順にお願いします。
と、こんな感じです。
ちなみに自分の意見としては、
「女性や高齢者を積極的に雇用している企業に対して補助金などのインセンティブを設けてはどうか」
みたいなことを言いました。
一通り意見が出たところで、
それでは挙げていただいた意見について、質問や補足をしながら議論を深めていきましょう。
議論しやすいように、まずは女性の社会参画について話し合い、そのあとで高齢者についても話し合う流れにしましょうか。
といった方針を提案しました。
あとは、6人もいるのでそれなりに議論は盛り上がります。
たまに意見をまとめつつ、
「〇〇についてはどう思いますか?」
などと話を振りつつ、流れのままに進んでいく感じでした。
議論の締めくくり
ラスト5分は、これまでに展開された議論を振り返り、まとめる段階としました。
たとえば女性の社会参画という切り口では、
- 雇用側にメリットを設ける
- マッチングや相談のサービスを充実させる
- 男性の育児参加を促す
といったようにアプローチの類型化ができたので、
「今回挙がった観点はすべて大事な要素なので、バランスよく並行して施策を進めていく必要がありますね~」
みたいなことを全員で確認しあうような感じです。
最後は誰かがまとめの補足意見を述べている中でタイムアップの合図があり、すぐにメモが回収されてそのまま退出、という流れで試験は終了となりました。
司会を務めた感想
司会はお得なポジション
ぼくが集団討論を通して強く実感したのは、司会はとってもおいしい役割だということでした。
というのも、司会は見せ場を作るために頑張って発言する必要がないからです。
半ば強制的に発言権が回ってくるので、
「もっと積極的に発言しなきゃ…」
「もっとグループに貢献しなきゃ…」
などとプレッシャーを感じなくてもいいのです。
極論、自分自身の意見がペラペラに薄くても、進行役・まとめ役に徹してさえいればグループには十分貢献できるわけですからね。
役割がハッキリしていることは、余裕につながります。
余裕でいられれば、良いパフォーマンスも出しやすいですよね。
進行役としての役割
もっとも、司会を引き受けた者特有のプレッシャーがあるのも事実。
少なくとも、討論における自分の役割をしっかりと意識しておく必要があります。
具体的には、次のようなことに注意を払うことが求められます。
- 残り時間に常に気を配る
- メンバーの発言量が偏りすぎないように配慮する
- 出された意見は都度要約し、認識のすれ違いが起こらないようにする
- 似た意見をまとめるなどして、議論が散らかりすぎないようにする
- 自分の意見より、グループ全体の意見(議論の流れ)を重視する
こういったことが特別苦手でなければ、司会という役割はかなりお得なポジションと言えると思います。
おそらく集団討論における役割決めは立候補制であることが多いと思うので、議論に自信がない人は、司会の座を積極的に狙ってみるのもアリではないでしょうか。
まとめ
以上、ぼくが受けた集団討論の試験内容と、その感想でした。
集団討論は公務員志望者にとって、個人面接以上にイメージの湧かない、大きな不安材料となる試験かと思います。
そして実際、本当にどうなるかわかりません。
議論の行く先はすべて当日のグループ内での相性と、そこから出てくる意見次第ですからね。
しかしだからこそ、過度に心配しても仕方がないとも言えます。
集団討論で大切なのは、素晴らしい意見を出すことよりも、いかに周りと協調して、一緒にいい議論を作っていけるかです。
「流れに身を任せてやろう」くらいの気持ちで、とにかく余裕をもって臨みましょう。
(↓個人面接の体験談も紹介していますので、あわせてどうぞ。)