気が付けばもう11月。
今年も、寒さに身を震わせる季節になってきました。
これからのシーズンで気をつけたいのは、なんといっても冬季うつ(ウインターブルー)。
すなわち秋から冬にかけての季節限定の抑うつ状態ですね。
ぼくは昨年の冬季にもかなりメンタルを落ち込ませた実績がありますので、再度この状態となることを今非常に警戒しています。
(昨年は適応障害による休職ブルーも重なって、特に落ち込みやすい条件がそろっていたように思います。)
そんな油断ならない季節をこれから迎えるうえで、ノルウェーのことわざの中に個人的に好きな考え方があるので、今回はそれをご紹介できればと思います。
雪国の冬は調子が落ちやすい
冬季うつを引き起こす大きな原因として、ほかの季節と比べて秋冬の日照時間が少ないことがあります。
この問題は、日本海側や北のほうの地域などの降雪地帯において特に顕著です。
こちらのサイトでは都道府県別の年間日照時間を掲載していますが、東北~北陸のエリアで日照時間が軒並み悲惨なことになっているのがわかりますね。
上記は年間統計でしたが、これを冬季のみに絞れば、日本海側エリアの日照時間は太平洋側エリアの10~20%とか、そんなレベルだったりします。
冬はずーっと雨降ってるか雪降ってるか曇ってて、どんよりとした灰色一色の空が基本。
たまーにちょっと晴れ、みたいな感じです。
北陸在住のぼくとしては、こうした冬の気候がいかにメンタルに悪影響を与えるかというのを、身に染みて痛感しています。
太陽の光を浴びにくくなる
まず、日照時間が少ないとセロトニンの分泌量が減少してしまいます。
セロトニンは「幸せホルモン」ともいわれる精神の安定や幸福感に深くかかわる大切な神経伝達物質で、太陽の光を浴びることによって体内で生成されることがわかっています。
どんよりした冬の日にやる気が起きないのは寒さのせいだけでなく、体の中でセロトニンが足りていないせいでもあるわけです。
セロトニン不足によって懸念される症状としてはこんな感じ。
- イライラする
- やる気が出ない
- 倦怠感がとれない
- 漠然とした不安に襲われる
要するにお日様が出ていないというだけで、体調に対して常にマイナス補正がかかってしまうわけですね。
運動不足になる
また天気が悪いと、ついつい室内に引きこもって運動不足になりがちですよね。
「ストレス解消には体を動かすのが良い」とよく言われるように、運動もまた体内のセロトニンを増加させる重要なアクティビティなのです。
太陽の光に期待できないならもう体を動かすしかないわけですが、雪がもりもり積もっている極寒の屋外を見ると、ちょっと散歩に出ることすら躊躇してしまいます。
そうなると、いよいよセロトニンを生成するチャンスは減るばかり。
かくして冬季うつへのリスクは順当に高まっていってしまうわけですね。
もっと過酷な北欧の国々
「天気が悪くて太陽が足りなくなるから冬の日本海側地域はヤバい」という話でしたが、ここで世界へ目を向けてみると、もっとヤバい地域があることに気が付きます。
北欧諸国(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド…etc)に代表される高緯度帯です。
北欧の冬の日照時間というのは日本よりもっともっと短く、冬季うつが社会問題にもなるほどなのです。
深刻な太陽不足
たとえばノルウェーの首都オスロにおける1月1日の例を見てみると、
日の出 : 9時30分
日の入 : 15時30分
(昼時間:6時間)
とザックリこんな具合です。
オフィスで8時間勤務してたら始業も終業も夜なので、太陽を拝む間もありませんね。
このように日照時間のMAX値がそもそも少ない上に、雪国ですから天気の方もしっかり悪いです。
冬は特に曇天が続き、数週間ないしは一ヶ月以上にわたって太陽がまったく見えないようなこともザラにあるんだとか。
またもし晴れていたとしても、高緯度帯では太陽の位置が低いので、日差しがあまり強くなりません。
ぼくなんかが移住したらすぐに気が滅入ってしまいそうな環境だなぁ…と思ってしまいます。
「悪いのは天気じゃない」の精神
そんな厳しい気候の中、ノルウェーにはこんな有名なことわざがあります。
Det finnes ikke dårlig vær, bare dårlige klær.
天気が悪いんじゃない、着ている服が悪いだけ。
爽やかな開き直りを感じさせる言葉ですね。
実際北欧には、雪だろうが雨だろうが構わず外へ出て運動や散歩をする人が多いようです。
「今日はちょっと天気が悪いから…」みたいな言い訳をしてると、いよいよ一ヶ月丸々何もできなくなっちゃうような世界なので、悪天候なんてものはこっちで対処しよう!というマインドになるんでしょうか。
確かに考えてみると、しっかり着込むとか防水性の高い靴を履くとか、とにかく適切な装備さえきちんと整えてさえいれば、過酷な屋外でもそれなりに快適に過ごすことができそうです。
高機能な製品が溢れる現代においてはなおさらですね。
天気というコントロールできない要素によって行動を変えるのではなく、あくまで行動を優先して自力で対処できることに注目する。
これはメンタルを安定させるうえでとっても大切な考え方だと思います。
毎年発表される「世界幸福度調査」においては、北欧5か国がその過酷な環境にも関わらずトップ10の中にずらりと名を連ねています。
その安定した幸福度の根幹には、こういった国民的なマインドセットもまた大きな役割を果たしているのかもしれません。
行動ファーストという選択肢
ノルウェーのことわざからは、行動が先行して気分が変わることもあるよね!という学びを得ることができます。
普通、ぼくたちの自然な行動原理としては、
環境 ⇒ 気分 ⇒ 行動
といった流れがよくあるように思います。
今日は天気がいいな ⇒ なんかちょっとやる気も出てきたな ⇒ 散歩でも行こうかな
といったような。
しかしこれを逆さにして、
行動 ⇒ 気分
の順序で力強く突っ走る選択肢もあるわけです。
環境まで変えることはできなくても、自分の気持ちなら変えられます。
やってるうちに後から気分も乗ってくるなんてことはよくありますもんね。
ぼくもこの冬、行動ファーストを心がけてウインターブルーに備えてみようと考えています。
朝窓を開けて、
「今日は最悪の天気だな…。」
と思ってしまったら、心の中で訂正してみます。
天気が悪いんじゃない、着ている服が悪いだけ。
そして、しっかり装備を整えてとりあえず外へ出てみることにトライしてみたいと思います。
雨や雪の日を「天候に左右されない自分」に自信をもつためのチャンスにできれば、それはとってもオトクですよね。
以上、毎年やってくる冬を少しでも乗り越えやすくするための一つのヒントになればということで、今回ご紹介してみました。