今回は、「規則正しい生活はマジ大切」論に関するお話です。
メンタルヘルスの文脈でよく見かける助言として、
うつ状態の人は、生活リズムが大きく乱れていることが多い。
心の健康を保つためにも、毎日決まった時間に食事と睡眠をしっかりとり、規則正しい生活を送ることが重要である。
というものがありますよね。
人間には太陽の光と食事とを基軸とした「体内時計」があって、これを整えることこそが心身の健康の根幹なんだぞ、という論説です。
これには多くのエビデンスがありますし、全くもって正しい意見だと思います。
しかしだからと言って、

よーし、メンタルが限界だから、早く回復させるために明日から規則正しい生活するぞー
などと意気込むと、かえって心にダメージを負わせる結果に終わるかもしれません。
ぼくは実際よくそうなりました。
だからいっそ、本当につらいときは規則正しい生活のことなんか考えない方がいい!
というのを持論にしています。
規則正しい生活が裏目に出る
生活に疲れてしまう
精神的に沈んだ人間が規則正しい生活を実現するには、かなりのパワーを必要とします。
「ベッドから離れたくないけど、もう起きなきゃ…」
「何もやる気が起きないけど、朝食準備しなきゃ…」
といった具合に、自分自身と何度も闘い、勝利し続けなければなりません。
こんな闘争の1日を過ごした人間がその日の最後に抱くのは、

今日はとても疲れたな…
生きるって大変なんだな…
というネガティブな感情です。
一般的な生活リズムについていこうとすると、それだけで疲労感が溜まってしまうんですね。
失敗して自分を責めてしまう
このように規則正しい生活は結構ハードなので、まあ大体うまくいきません。
本当は起きなきゃいけない時間なのに、どうしても起きられない日もあることでしょう。
そんなとき、「規則正しい生活をしなければ」という思いが強ければ強いほど、それを実現できない自分を責めてしまいがちです。

自分はなんてダメなんだ…
こんなことでは、いつまでたっても体調は回復しないじゃないか…
こんな感じで自責の念に駆られることにより、さらに気分が落ち込むという負のループに突入していくんですね。
だったら初めから規則正しい生活なんて目指さない方が、よっぽど心の健康のためじゃないでしょうか。
つらいときはとにかく自然体で
生活リズムと同調効果
ところで音楽療法などの分野で知られている現象として、音楽の同調効果というものがあります。
気分が落ち込んでいるときには、元気が出るような明るい音楽よりも、むしろ暗くてスローテンポな音楽を聴くほうが精神的に安定する、というもの。
無理して明るい音楽を聴いたところで、かえって気分とのギャップに違和感が生じちゃうわけです。
たしかになんとなく納得できますよね。
生活リズムについても、「リズム」というだけあって、いくらか音楽の同調効果に通じる部分があるように感じます。
- ある程度調子がいいときは、規則正しい生活を続けることでメンタルが安定する
- 調子が沈んでいるときは、怠惰でボロボロな生活を続けるうちに逆にメンタルが安定してくる
規則正しい生活はアップテンポなイケイケ音楽と一緒。
無理してノッたところでギャップに苦しむだけ。
つらいときは無理せずただただ自堕落に過ごしてやりましょう。
そのほうが意外とうまくいくかもしれません。
リズムは調子がいいときに整えよう
気分には少なからず波がありますよね。
退廃的な生活を続けていると、そのうち、いつもよりちょっと調子のいい日が続いたりします。
規則正しい生活を意識するのは、そのときでいいんじゃないかな。
やや上向いた気分をブーストさせるための手段として、試しに生活リズムを整えてみる。
「自らのパフォーマンスの波を敏感にキャッチし、戦略的に生活スタイルを変化させる」
という大義名分のもと、ぼくはしばしばだらけています。
そっちの方がシンプルに楽だし、結果的に気分の回復も早い気がします。
とにかく自然体、これ大事。
そんなお話でした。