今回は、リチャード・カールソン著『小さいことにくよくよするな!』をご紹介したいと思います。
さてこのタイトル、いかがでしょうか。
ぼくはパッと見て、正直あんまり惹かれないなあ、と思いました。
なんだかこっちの事情を無視した安直なアドバイスのようにも見えちゃうからです。
しかし、本の説明に
「アメリカではリビングに一冊、ベッドに一冊、トイレに一冊の必需品」
と書いてあったのが面白くて、つい買ってしまいました。
さすがにちょっと盛り過ぎだと思うんですが、インパクトのあるコピーですよね。
本の概要と、心に響いた一節
この本の趣旨としては、
「人生における一大事とか緊急事態って全部、大騒ぎするほどでもない小さなことだぞ」
ということを基軸に置いたTips集です。
著者はストレスコンサルタントとして活動するアメリカの心理学者。
周囲の人間や環境に過剰に反応せず、心穏やかに過ごすためのアドバイスがちょうど100個のトピックで語られています。
その中でぼくが特にお気に入りなのは、
- 006:死んでも「やるべきこと」はなくならない
- 058:いま、リラックスする
この2つです。
本を読んでから半年ほどが経ち、内容のほとんどを忘れ去ってしまいましたが、この部分だけはとても印象に残っています。
死んでも「やるべきこと」はなくならない
「やるべきこと」のリストは、ここ当分のあいだだけあるものだと私たちは自分に言い聞かせる。
リチャード・カールソン『小さいことにくよくよするな!』サンマーク出版
片っぱしからやっつければ気分がすっきりしてハッピーになれる、と。
だが、現実はちがう。リストの項目を一つやっつけるたびに新しい項目が出てくる。
ぼくは忙しくなると露骨に心の余裕をなくしてしまうタイプですので、これにはハッとさせられました。
やらなきゃいけないことが色々あるときって、いわばそれを言い訳にして、ほかの大切なこと(食事・睡眠・息抜き・人と過ごす時間…)をおろそかにしがちですよね。

今はそれどころじゃないんだよ!とりあえずやることを終わらせてからだ!
と、気が付けばこんな感じのスタンスになっています。
それに対してこの本は、
「でもやることは終わらないよ?」
とエッジの効いたツッコミを入れてくれるわけです。
さらにこうも続きます。
あなたが死んでも、やりかけの仕事は残ることを忘れないように。
リチャード・カールソン『小さいことにくよくよするな!』サンマーク出版
もう一つ言わせてもらえば、それはだれかがやってくれるのだ。
ピリッとスパイシーな語り口でいいですね。
結局やるべきことを全部成し遂げるなんていう目標は叶わないんだから、いかに今の自分を充実させながらやるべきことをこなしていくか、その過程を大切にしなきゃなぁ、とそんなことを思わせてくれました。
いま、リラックスする
次の一節も、上述のトピックによく関連した内容です。
私たちのほとんどは「やるべきこと」がなくなってからリラックスしようと考えている。
リチャード・カールソン『小さいことにくよくよするな!』サンマーク出版
人生の「書類入れ」がカラになることはぜったいにないのに。
リラックスは日ごろの心のもちようでできる。いま、リラックスできるのだ。
これもまさに図星でした。
ぼくは今でこそ無職ですが、本を読んだ当時は「今週は忙しいから有給とるの無理!」と一年中言っているような働きマンだったのです。
リラックスできるかどうかを状況に委ねているようでは、ついぞ力は抜けないままだぞ、ということです。
だってタスクや不安の種がゼロになるような、絶好の瞬間なんて来ないんだから。
「状況が変わればいつか楽になれる」ではなく、「状況を問わずこの瞬間楽になれる」という意識こそが、このストレス社会では特に大切なんだと思います。
ほんとにつらいときには、これもなかなか難しいですけどね。
幸福になるのを先延ばしにしない
以上『小さいことにくよくよするな!』から、ごく一部を引用しました。
思い返せば、ぼくが前の仕事を辞めようと決意したとき、

今は苦しいけど、退職さえすれば楽になれる…。今年度が終わるまでの辛抱だ!
と、しばらくはこんな感情をカンフル剤にしていました。
たった今自分が抱えているタスクや問題から全て解放されれば、それで自由になれると思っちゃうんですね。
でも実際には、仕事を辞めたら辞めたで、また新しい環境におけるタスクや問題が次々に湧いてきます。
じゃあその新しい問題が解決したら今度こそ幸せになれるかというと、そのころにはさらに新しい問題を抱えていますから、やっぱりそれどころじゃありません。
これでは「今は不幸だが将来は幸せになりたい」という境遇を延々と繰越してくことになります。
つまるところ、本当に幸福を感じたいのであれば、幸福のありかを将来に設定するのはあまり得策ではないということ。
どうせなら思い切って、
「今置かれている状況から何とか幸福成分を抽出して味わってやろう」
と現在に目を向けたほうが、ハリのある毎日につながりそうです。
逃げずに現状を受け入れるのがいい、と言いたいわけでは決してないですよ。
むしろガンガン逃げて、環境は変えまくって、そのうえで幸福のありかはあくまで「現在」に見出そう、というのが、ぼくの得た教訓です。
つまり、幸福になるのを先延ばしにしないこと。
例えば天気が良い日は、
「ああ~最高に天気がいいなぁ~」
と独り言を言って、無理やり幸福を見出そうとするなどしています。
人生の荒波をくぐり抜けていくにあたり、こうした心構えは今後も大事にしていこうと思っています。
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