何事も初めての第一歩にはいくらか勇気が要るものですが、心療内科・精神科の受診についてもそれが言えると思います。
ぼくは28歳のときに仕事のストレスでボロボロになり、休職前提で倒れこむようにして精神科へ駆け込んだのですが、このときが人生で初めての精神科受診でした。
よく「適応障害で休職」「うつ病で休職」という話は耳にしてきたものの、自ら実際に経験したことがなかったので、

こういうのって具体的にどんな流れで診断されるものなんだ…?
というのがいまいちピンとこず、なんだか心もとない感覚になったのを覚えています。
そこで今回は、少しでもそのあたりのイメージがつかめるように、ぼくが精神科にかかったときの受診の流れについてお話ししたいと思います。
受診の流れ
ぼくが「精神科を受診しよう」と決めてからの流れは、こんな感じでした。
- 職場のメンタルヘルス相談を利用
- 産業医の先生に紹介状を書いてもらう
- 病院の精神科を受診
- 診断書をもらう
このうち①&②は医療機関を探し始めた1日目のこと、③&④はその2日後のことです。
期間にしてわずか3日間。
初診にしては、かなりスムーズに進んだ例かなと思います。
このころはかなり心身に限界を迎えていたので、そのピークの中で速やかに受診にありつけたというのは、今思うと本当にラッキーだったなぁと感じます。
ちなみにこのときの診断は適応障害でした。
(↓この頃の症状についてはこちらに書いています。)
職場のメンタルヘルス相談
受診の第1ステップとなったのは、職場の福利厚生として整備されていた「メンタルヘルス相談」のサービスです。
ぼくは初め、市内の精神科・心療内科の病院やクリニックに手あたり次第電話をかけて、どこか早々に受診できるところがないか探し回っていたのですが、これがなかなかうまくいかずに途方に暮れていました。
初診の患者というのはとにかく優先順位が低くて、予約が取れるのは最速でも1か月先だったりするんですよね。
そんな中、上司からもらった「福利厚生を頼るのがいい」とのアドバイスに従ったところ、これが大正解でした。
予約を入れたその日、ちょうど精神科の産業医の先生が日直としてやってくる予定とのことで、さっそく面談にありつけることとなったのです。
保健師さんとの面談
初めは事前ヒアリングということで、相談担当の保健師さんとの面談が20分ほどありました。
ここでは、
- 仕事でどんなストレスを抱えているか
- 最近感じている心身の症状
- どうなったら負担が減りそうか
といったことをざっくばらんに話しました。
ぼくが自分の抱えている悩みや苦しみについて具体的に誰かへ伝えるのはおそらくこの時が初めてだったので、会話するだけでもなんだかとても安心した記憶があります。
保健師さんは終始、雑残を交えながらラフに話を聞いてくれました。
全体を通して、ゆるめのカウンセリングのような雰囲気でしたね。
産業医の先生の診察
続けてすぐに、職場の産業医の先生との面談を手配してもらいました。
先生とのやり取りでは、具体的な症状や睡眠時間、食欲についてなど、よりメディカルな内容の確認が中心でした。
こちらはだいたい15分程度の問診だったでしょうか。
ひととおり確認が終わった後、
「じゃあ紹介状書くので、病院の方で診断書出してもらってくださいね」
ということで、その場でささっと紹介状を用意してくれました。
そしてその間、先ほどの保健師さんが裏でいつの間にか病院にアポを取ってくれていたようで、なんと2日後に病院を受診させてもらえる段取りがもう整ってるのです。
さっきまで自分で医療機関に直接電話をかけまくっていたときは何の進展もなかったのに、専門家に頼るとこうもすんなり予約が取れるものなんだなぁ、と肩の荷が下りた感じがしました。
精神科の受診
職場での面談を受けた翌々日、今度ははっきりとした診断を受けるため、紹介状を握りしめて地元の総合病院を訪れました。
診察までの待ち時間は2時間くらいだったような気がします。
初診の1か月待ちに比べれば、やっぱり驚くほどスムーズですね。
研修生との事前診察
待合室でやっと名前を呼ばれたかと思うと、通されたのは診察室ではない謎の小部屋でした。
座っていたのは白衣を着た、20歳くらいの若い青年。
どうやら将来精神科志望の医学部生が、研修として事前問診を担当させてもらっている、とのことのようです。
いやあ、こういうシステムがあるものなんですね。
一瞬何事かと思いました。
内容としては一般的な問診といった感じで、前もって産業医の先生と話したような経緯や症状を、改めてお話ししました。
時間にして10分くらい。
ここでの記録をもとに、いよいよ主治医の先生との診察に続きます。
適応障害の診断へ
主治医の先生は40代くらいの方でした。
先ほどの医学部生の青年との問診記録をもとに、その内容を一つひとつ確認していくような流れで診察が進んでいきます。
(青年は一緒に診察室に入って、診察の様子を見学していました。)
いくつかやり取りした後、
「このあと仕事を続けたいか、あるいは休みたいか、どうしていきたいですか?」
といったことを聞かれました。
ぼくが「一度休みたい」と答えると、
「そしたら休職のための診断書を出しますね」
と。
このあたりの先生のスタンスは、個人的に少し予想外でした。
ぼくのなんとなくの勝手なイメージで、
「診察の結果あなたはこういう病気です!これくらいの休養が必要になります!」
みたいな診断が下るものだと想像していたんですよね。
もちろん診断書の文言自体はそんな感じなのですが、その前にあくまで「本人がどうしたいか」が前提条件になるんだなぁ、というのが強く印象に残りました。
この辺の考え方は、それぞれ主治医の先生によってもまったく違うのかもしれないですけどね。
ちなみに「あなたは適応障害ですよ」と口頭で宣言されることもなく、作ってもらった診断書にさらっと病名が書いてあっただけでした。
ともあれこういった流れを経て、ぼくの精神科デビューは無事終わり、間もなく休職の手続きへと入っていったのでした。
まとめ
というわけで今回は、ぼくが初めて精神科を受診し、診断書をもらうまでの一通りの流れを回想してみました。
心療内科とか精神科にかかるのって、これまで関わりがなかった人にとっては特に、「何となくよくわからない世界で不安だなぁ」と何となく抵抗を感じてしまいがちだと思います。
しかしご覧のとおり、行ってみればまったくあっさりしたものです。
風邪を引いて内科にかかるのと何ら変わりはありません。
むしろ難関は受診の前段階にあって、なんといっても初診の予約を取るのが大変。
もちろん早め早めのうちから医療機関にかかって定期的に通っておくのがベストなのですが、なかなかそう上手く立ち回れるとも限りません。
すぐにでも診断書が欲しいのに、病院やクリニックにありつけないケースは多いはずです。
そんなときは、職場の産業医やカウンセラー、地域のメンタル相談窓口などなど、とにかく早く相談できるサービスに頼る作戦は結構有効だと思います。
こうしたサービスには然るべき医療機関とのコネクションが構築されていることが多いはずなので、今回のぼくのケースのように、意外にすんなりと早期診察につないでもらえるかもしれません。
それが叶わずとも、単純に誰かに話を聞いてもらえるだけで、いくらか不安な気持ちが和らぐこともありますからね。
「予約の電話をかけるのもしんどい」
という気持ちは痛いほど分かりますが、受診のためには動き出しの早さが重要なのもまた事実。
この体験談が精神科受診へのハードルや抵抗感を少しでも緩和する一助になれば嬉しく思います。