ブックオフの「本みくじ」がとても良かったので定期的に買いたい

先日ひさびさにブックオフを歩いていると、ひと際目立つコーナーがありました。
あまり古本屋らしくない、蛍光ピンクの賑やかな棚。

「honmikuji -本みくじ-」、その名のとおり本のおみくじです。

「ためしにどう?」
「小説が入ってます!」
「おみくじは全部で30種類!」
「普段、選ばないかもしれない本に出会える」

うわ、めちゃくちゃいいコンセプト…!

ということで早速、ためしにひとつ購入してみました。

本みくじについて

ぼくが知らなかっただけで、「本みくじ」は2023年ごろからブックオフの一部店舗で実施されている企画のようです。
ただ販売店舗はそれほど多くないみたいですね。

コンセプトについて、本みくじのパッケージ裏面に記載されているものを引用します。

honmikujiとは、お客様が本の内容を見ずに直感のみで選び、お買い求めいただく本です。
何が出るかはお楽しみ。普段、自分では決して選ばないかもしれない本との思いがけない出会いをお楽しみいただく企画です。
さらに、「大吉」「中吉」「小吉」のおみくじ入り!

いやぁ、素晴らしいアイデアですね。
棚に並んだ箱それぞれの中に、自分の知らないストーリーが隠れていると思うと、非常にわくわくします。

そしてお値段、税込220円
まあ古本ではあるのですが、にしてもかなり安いです。

しかも中にはおみくじという名の割引クーポンまで入ってるんですよ。

買ってみた結果

はじめての本みくじの結果は、こちら。
坂木 司『和菓子のアン』 でした。

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デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(うめもときょうこ)(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの18歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは? 読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー!

本みくじを開封するまでは存在を知らなかった作品。
そしておそらく、本みくじ経由でなければ手に取ることも読むこともなかったであろう作品です。

ちなみにおみくじ券の方は、「中吉」でした。
次回ブックオフでの買い物に使える、50円OFFのクーポン
使用できる期限は翌月末まで。

さすがに「中吉だから中身もそこそこの小説」「小吉なら中身はハズレの小説」みたいな失礼な話ではないと思います。
あくまでクーポン自体に何かしらのバリエーションがあるということなんでしょう。

後日もうひとつ本みくじを買い足してみると、出現率3%らしい「大吉」が出ました。
同じ50円OFFクーポンでしたが、有効期限が半年後にまで延びていたので、おみくじの結果は有効期限として反映されているものと思われます。

偶然の出会いって面白い

本みくじという取り組みの何がいいかって、やはり人生の中に偶然性を差し込める装置になることだと思います。

本という形で、思いもよらないような物語・知識・情報がランダムに自分の中に入ってくる感じ。
その偶然の出会いによって、自分の人生が思わぬ方向に開かれていく(かもしれない)感じ。

昨今の世の中というのはビッグデータの集積と活用が当たり前になっているから、パソコンやスマホを経由して得られる情報というのはすっかりパーソナライズされきっていて、いかにも自分が好きそうな商品やサービスが優先しておすすめされます。

これは間違いなく便利で快適なんだけども、あくまで過去の自分の行動に沿った未来が提示されるわけなので、ともすれば興味関心や行動様式が一辺倒にパターン化していってしまうリスクもあると思うんですよね。
人生の幅がなくなっていくというか、気づかないうちに見える世界が狭まっていくのは避けたいところ。

ぼくが本を探すときは、Kindleのおすすめを眺めたり、どこかで見聞きして気になった本をAmazonや楽天やメルカリや図書館の検索窓でサーチしてみたりすることが多いのですが、これでは興味の幅が広がる機会がかなり少なそうです。

実店舗の本屋や図書館へ行けば目に入る本も増えるから、その問題もいくらか緩和されるんだけど、それでもやっぱり立ち寄るコーナーというのは次第に固定されていくし、気になって手に取る本もなんとなく決まってくるじゃないですか。

普通になんとなーく生きていたら、偶然性が不足しがち。
適当な食生活ではビタミンやミネラルが不足しがちなのと似ています。

何か自分を予想不能な刺激にさらすような仕組みを作らなきゃなぁ、というのは、ぼくが常々考えていることでした
その意味で本みくじは、220円という手軽さで人生を軽く小突いてくれるような、めちゃくちゃちょうどいい偶然性付加装置だったのです。

まとめ

今回はブックオフの「本みくじ」という素敵な取り組みのご紹介でした。

お近くの店舗で実施されていないことも多いかと思いますが、ふらっと立ち寄ったブックオフに蛍光ピンクに輝く棚を見かけたら、ぜひ試しに1つ手に取ってみてください。

同封されている50円クーポンは次回の本みくじにも使えるので、これで税込170円。
自販機でペットボトルを買うくらいの気分で、自分が存在すら知らずに一生を終えるはずだった物語に、偶然出会う機会を得られるのです。

ちなみにこんなこと言わなくてもいいのですが、今回本みくじに入っていた小説はぼくにはハマりませんでした。
2回目に買った本みくじの中身は、タイトルは伏せますがここ10年くらいで一番つまらない小説でした。

でもそれでもいいのです。
普段ならまず買わないような作品が、強制的に手元に入ってくるという体験それ自体に、すでに220円以上の価値が含まれているのです。

このサービスが続いているうちは、ぜひ今後も定期的にブックオフを訪れて、自分の人生をランダムに開く機会を得ていきたいなと思っています。