忙しい毎日を楽しめるのは個人事業主の大きなメリットだなと実感したこの頃

大晦日に久々の記事更新です。
年末間近の時の流れは早いものですが、この1~2か月ほどは自分の仕事がめちゃくちゃ忙しく、例年に増して特にバタバタとした日々でした。
おかげでブログやら読書やら、余暇の息抜きのようなこともしばらくできていないのですが、年末年始の間はひとまず小休止ということで少しゆっくりできそうな雰囲気です。

3年前にぼくがメンタルを潰した当時の職場でも、休職のきっかけになる程度には忙しい時期はあったのですが、ここ最近はそのとき以上に長時間労働の毎日でした。いやあ、疲れました…。
しかしそれでも、公務員時代の忙しさと個人事業主となった今の忙しさとでは、精神的なストレスのかかり方が全然違うのです。

  • 公務員時代の繁忙期
    → シンプルに苦痛、とにかく早く終わってほしい、胃に穴が開きそう
  • フリーランスとしての繁忙期
    → 大変だけど楽しい、充実感がある、もっと色んな仕事がしたい

仕事が忙しいということにはマイナスイメージが付き物ですが、ぼくにとって今回の仕事漬けの日々は「こんな忙しさも歓迎じゃん」と思えるようなポジティブなものでした。
これはひとえに、勤め人からフリーランスへと働き方のスタンスが移ったことによる自然な変化だと思います。

こうして繁忙期が訪れたときに忙しい毎日をポジティブなものとして楽しめるというのは、自営業・フリーランスとして仕事をしていくことの大きなメリットだな、というのを強く感じたので、今日はそのことについて書いてみます。

ここ最近の労働事情

まずは直近の1~2か月の生活がどんな感じだったかというと、毎日起きてから寝るまで食事以外の時間は基本的にずっと仕事をしていました。
途中だらけて作業が進まない時間もありましたけどね。

ぼくはWeb制作を中心にわりと広い業務範囲をなんでもかんでも引き受けているのですが、たまたま最近は特に色んな領域での役割が重なっていました。

  • デザインデータを作ったり編集したりするデザイナーとしての仕事
  • Webサイトのコードやプログラムを書くエンジニアとしての仕事
  • チームでのWeb事業を進行するディレクターとしての仕事

フリーランスとして複数の個別案件をそれぞれ同時並行して進めるわけですが、やっぱり役割が違うと脳の使い方も違うので、バランスを取るのがなかなか大変なんですよね。
コードを書いていても、別件で急ぎの連絡調整が必要になったらそっちを対応しなくちゃいけないし…そうして集中力が途切れると、なかなか元の開発に戻っても思うようには進みません。

ぼくは手広く色々やりたくなっちゃうタイプなのでいいのですが、ぶっちゃけ効率のいい仕事の受け方ではないです。時間単価を上げたい方はもっと専門をしぼって得意なことに特化しましょうね。

そしてやはり年末が近いこともあって、どれもスケジュールが短めです。
納期に遅れないよう、元々決まっていた人と会う予定とバイトの枠だけはあらかじめ確保して、それ以外の時間帯をフルに使って業務スケジュールを組みます。
本当はバイトのシフト方を削ってしまえばいいんでしょうけど…運動不足解消&リフレッシュを兼ねた大事な要素なので、ここは忙しくても最低限確保したいなぁというわがままです。

そうすると予定のない自由な時間というのは残りません。予定のない時間はその隙に思う存分仕事に集中する。
でもやっぱり納期直前には時間が足りず、7:00起床→ひたすらPC作業→26:00就寝 みたいなことを連日続けていました。やばいですね。

忙しさを楽しめる理由

公務員時代にこんな働き方をしていたら、きっと精神的にもズタボロになっていたと思います。

しかし今は個人事業主。
フリーランスとして仕事に追われる分には、忙しくても負担感がまったく違うことを実感しました。
多忙も単なる苦痛ではなく、運動後の筋肉痛のような、心地よい痛みのように感じられます。

これにはいくつか理由があるように思います。

  • 忙しいのは順調な証拠だから
  • 自分がやりたい仕事をしているから
  • 自己責任で好きなように進められるから

忙しいのは順調な証拠だから

まず働き方の違いは大きいですね。
組織に勤めているときは組織のために仕事をしますが、個人事業主は自分のために仕事をします。
誰にやらされているわけでもない主体的な活動であって、言ってしまえば忙しく仕事をしたくて事業を営んでいるわけです。

だから個人事業主の繁忙期というのは本望なのです。「嬉しい悲鳴」というやつですね。
まあ忙しいと体力的にはキツイのはその通りなんですが、精神的には逆にとても満たされる感じがします。

だって自分が仕事を通じて誰かに価値を提供できるというのは幸せなことじゃないですか。
そして仕事を通じてまた自分のスキルを磨いて、今後また別の仕事を任せてもらえるサイクルにつながると思うと、未来予測が楽観的に方向に広がって、行く先の不安がいくぶん和らぎます。

逆に仕事がまったくないときのほうが精神的にしんどい毎日です。そのままだと生活が破綻しますからね。
将来が不安でたまらなくなる苦しさに比べれば、ヒーヒー言いながら働いている日々のなんと充実していることか。

仕事が増えれば収入が比例して増えるというご褒美がちゃんとあるのも、忙しさを楽しめる要因です。
ぼくは生活コストが元々低いので、この年末で頑張って働いた分のお金があれば、今後数か月間の受注が仮にゼロになったとしても生活に支障がないという安心感があります。
まあ何かあった時の備えは自分でしておかなければならない立場なので、油断は禁物なんですけどね。

今の仕事が増すほどそれ以上に未来への安心感が増すから、差し引きでプラスというわけです。

自分がやりたいことをしているから

それから仕事の中身も重要です。
やりたくない業務に忙殺されるのは苦しいものですが、自らすすんでやりたい業務なら苦になりません。

仕事に追われるのではなく、むしろこちらから仕事を追いかけているのだ、みたいな。
ぼくはひたすら何かを一人でこねくり回してこつこつと作り上げることが大好きなので、デザインやWeb制作に関することをしているときは非常に楽しく没頭できます。

プライベートでも趣味で何か作ることに時間を使っていたりするので、仕事とそれ以外の境界自体がわりと曖昧なんですよね。
仕事では依頼を受けて制作をしますし、それ以外では個人的な制作をしていて、結局やっていることの実体はそれほど変わらなかったりします。
なんなら気合いが入るぶん、仕事として取り組む制作の方が楽しんでやっているかもしれない。

まあもちろん生計を立てていくうえでは自分都合で好きなことばかりをしているわけにもいかないので、現実には気の乗らないこともほどほどにこなしながら、バランスを取らないといけないわけですけどね。
それでもやはり選択権は自分にあるので、「不本意な仕事をやらされている」みたいな辛さとは無縁なのです。

自己責任で好きなように進められるから

そして、今回ぼくが一番「個人事業主っていいな」と改めて噛み締めたポイントがこちら。
仕事の進め方がとにかく自由だということ。自分の行動は自己責任で好きに決められるということです。

特に前職の公務員なんかは規律がカッチリしている組織でしたから、そのあたりの閉塞感は強くありました。
対外的になにか要求したり交渉したりする場合の段取りや、また内部での連絡調整の方法いたるまで、
「組織としてこの進め方を選択して問題ないか?」
「組織の慣習に照らして妥当な判断をできているか?」
といったことを都度気にしながら動く必要があります。

とりわけぼくのような心配性な人間は、仕事で周囲に迷惑をかけることをやたらと恐れる傾向にあるので、このあたりの配慮に大変なストレスがかかります。
自分の判断基準が組織とズレていると、何かあったときに組織全体の責任として落とし前を着けなくてはなりませんからね。
忙しいときに本当に精神的負担になるのは、業務それ自体よりむしろ、業務をどのように進めるのが妥当かという判断の機会が増えていくことなんですよ。自分だけの問題じゃなく周りをまきこむ話になるから。

その一番胃がキリキリする問題を、個人事業主であれば考えなくてよくなります。
自分なりに最大限クライアントや制作物のことを考え抜いて、「これがベストだ!」と思えばそうすればいいのです。
それで万が一今後の個人事業に不利益が生じてしまっても、自分が困ればいいだけ。誰にも迷惑はかかりません。
仕事における自己責任って、なんて気楽でいいものなんでしょう。

この1~2か月仕事を目一杯抱えて深夜まで頑張る選択ができたのも、その自由裁量があったおかげです。
もし会社勤めだったら、「こんな兼務は非効率だから業務範囲を見直すべき」とか「残業が多すぎるから業務を切り分けて他メンバーに引き継ぐべき」みたいな組織的な事情を考える必要が出てきて、その精神的ストレスでぶっ倒れていたことでしょう。

効率なんて二の次で、自分が好きなように思う存分時間をかけて満足のいくものを仕上げられるなら、それが一番ストレスフリーなのです。そういう人もいるのです。

誰の目も気にせずマイペースに仕事ができる自由って、最高です。

組織が合わない人は個人事業主もいいぞ

ちなみに弁明しておくと、ぼくは今回みたいに仕事をぎっしり詰め込んだ生活が理想的なライフスタイルだとは思いません。
こんな働き方は確実に身体に悪いし、続けたくはないです。この年末は自分のキャパ以上に仕事を詰め過ぎました。普通に反省しています。

とはいえ、組織に勤めていても個人で仕事をしていても、突発的に想定以上の忙しさにみまわれてしまう時期というのはどうしても出てきますよね。
業務量というのはなかなか自分の都合だけでコントロールしきれるものでもないはずです。

そういった事態においても、メンタルをゴリゴリ消耗するのではなくむしろフィーバーを楽しむ方向に舵を切れるのであれば、それは個人事業主やフリーランスといった流動的な働き方の大きなメリットの一つと言えるのではないか、というのが今回の趣旨です。

特にぼくのように、
・組織の規律にあわせて卒なく仕事をこなすのが大変
・同僚や上司に配慮して仕事の進め方を調整するのが疲れる
といった周りを気にしがちなタイプの人には、束縛されない個人事業主のスタイルは合っているかもしれません。

収入が保証されないので、経済的な安定感はあきらめることになりますが…。
しかし「仕事の事情が今後どうなるかわからないけど、いずれにせよ自分の判断でどうにでもできる」という自由が保障されているのも、健全な生活にとって大切なリスクヘッジのうちだと思うのです。

一般的に仕事のストレスというと労働時間の長さが指標になることが多いですが、これはあくまで目安の一つに過ぎませんよね。
少なくともぼくにとっては、「1日何時間仕事をしているか」という量的な問題はささいなことであって、むしろ「どのように仕事をしているか」という質的な問題の方が精神衛生上もっと重要だったようです。

要は働き方に絶対的な良し悪しというのはなくて、まずその人の性質や仕事観があったうえでの相性が大事だよね、というお話でした。

個人的には、来年はもう少しゆとりのある働き方を心掛けたいと思っています。
が、また魅力的なお仕事の話をたくさんいただけたら、そのときはまた気合いを入れてフィーバータイムをしばらく駆け抜けたいなとも思っています。