ついこの間新年を迎えたと思ったら、早くも1月が終わりに近づいています。
さて1年前の今頃、当時地方公務員の職を適応障害で休職中だった自分は、いったい何をしていたかというと、ちょうどその後の進退を決断する最終局面にいました。
今回はその当時のことを振り返ってみます。
適応障害や休職に至った経緯はこちらなど参照ください。
当時のぼくが抱えていた具体的な選択肢としてはずばり、
- 復職して別の部署へ異動してみる
- 退職して新たな道へ進む
この二つでした。
まあ最終的には②退職を選ぶわけですが、
「休職者が異動するためには一度元いた部署に復帰しなければならない」
という条件があったことが、このときの決断に大きく影響していたなと感じます。
つまり、リハビリのために落ち着いた部署へ行って少しずつ復帰する、といった方法がとれなかったわけです。
これは適応障害となったぼくには、なかなか苦しい前提条件でした。
環境を変えるために
適応障害には「ストレスの原因となっている特定の状況から離れることで症状の軽減が期待される」という特徴があるので、体調を安定させるためにはとにかく環境を変えることが必要です。
休職することで一旦は職場から自宅へと環境を移せたわけですが、ずーっとそのままというわけにもいきません。
かといって単にストレスフルな環境へと戻るのでは、やがて再び体調を崩すだけでしょう。
そして当時のぼくは、休職期間を継続していく生活自体への負担もかなり感じていました。
そんなこんなで、一刻も早く苦しみから逃れるために環境の変化はぜひとも欲しかったので、休職に続くステップとして「異動 or 退職」の二者択一を迫られていたのです。
選択肢1:異動する
まず一つの方法として、異動によって環境を変えることができます。
公務員の人事異動では、オフィスや人間関係だけでなく仕事内容までまるっきり変わるので、感覚的には転職するくらいの変化があります。
ぼくの場合、メンタル不調に陥ったのはまさに異動で当時の部署へやってきたのがきっかけだったので、メンタルを回復させるためにはやはり、異動で別の部署へ再び出ていくのが望まれるわけです。
もちろん異動した先が精神的負担の少ない部署であるとは限らないのですが、まあ診断書も出ているわけなので、目に見えてハードな部署には配属されにくいでしょう。
少なくとも、確実に合わない元の環境で働き続けるよりは、ランダムな異動の方がいくらか希望があるように見えますね。
選択肢2:退職する
もう一つの手段は、公務員そのものを辞めること。
公務員でいる限り、数年に一度の人事異動でクルクルと職務環境のギャンブルを繰り返し続ける運命は変わらないわけで、どこかでまた病んでしまうリスクを十分にはらんでいます。
それならいっそ今の生活に見切りをつけ、退職してイチから新しい道を、ということです。
現在ぼくは個人でWebデザインのお仕事をしているのですが、1年前当時からこの業界へ進みたいという思いを強く持っていたので、このときの自分にとってはすでに、退職という選択肢のほうが魅力的な第一候補となっていました。
とはいえ、休職中の身も心もボロボロの状態で安定した職を捨てて未経験の分野へ入るのは、とても勇気がいるし、実際リスクを伴う選択です。
そこで選択肢1との折衷案として、
「1~2年くらいは落ち着いた部署へ行って働きながら力と資金を蓄えて、それから退職する」
という方法がとれるならばそうしたい、というのが正直な本音でしたね。
生活の目途がたたない状況ですぐに退職することには、やっぱり不安がありました。
休職中の異動はできない
ところが、異動のためにはそのまえに超えるべきハードルがありました。
休職時に在籍していた職場への復帰です。
元の部署での復帰は必須
休職にあたり連絡を取り合っていた上司も、ぼくが少しでも楽な環境で働きながら体調を回復させられるように全力を尽くしてくれたのですが、やはり「元の部署で復帰してから異動」という流れは必須のようです。
なんとか出先機関に異動できないか頑張って交渉してみるよ。
そのためには規定上少なくとも年度末の1ヶ月前くらいまでには復職しておく必要があるから、主治医の先生とも相談してみてね。
と、こんな感じで面談の際に教えていただきました。
このあたりのルールは公務員の中でも自治体によって違うのかもしれませんが、大体のところは同じように異動するなら復職してからという原則になっているのではないかと思います。
手続き上、首長から「この部署での勤務を命ずる」と辞令が下りて異動が成立するわけなので、そもそも勤務不可のため休職している職員をこの対象にすることはできない、といった趣旨でしょうか。
また人事異動にあたってはあらかじめ異動元と異動先の部署間において細かな調整も必要になってくるということで、実務的にも休職中の采配というのはなかなか難しいのでしょう。
復職時の環境は重要
適応障害になった当人からすると、どういった環境で復職するかというのはとても重要な要素です。
しばらく休んである程度回復はしても、ストレスの原因が取り除かれなければ根本的な解決には至りません。
単純に業務量だけの問題であれば調整してもらえるかもしれませんが、例えば内部や取引先との人間関係・ハラスメント等がストレスの原因となっている場合はそうもいかない。
そうするとやはり、勤める部署ごとガラッと変わるのでなければ、なかなか復帰は進みにくい部分があるかと思います。
ぼくの場合は幸いなことにパワハラなどは全くなかったのですが、それでも体調を崩すきっかけとなった職場の内観や、自分のオフィスデスクといった状況そのものに強い苦手意識ができてしまっていました。
休職中でも職場の近くを通りかかるだけで動悸が激しくなって体調が崩れたのを覚えています。
「まずは元の部署での復帰が必要」という前提条件がある以上は、ぼくにとって異動という選択肢は大変ハードルが高く感じられたのです。
無理はしないように
そんなこんなで、ぼくは次のような思考の流れによって退職を決断するに達したわけです。
- 休職を続けるのは苦しいな
- 異動するか退職するかの二択だな
- 異動のために元の部署に復職するのは苦しいな
- じゃあ退職しよう!
要するに、その時の自分が選べる中で一番精神的に楽な選択肢を選んだということですね。
この「とにかく楽な方へ」という考え方は、特に不調のときにはものすごく大事なことだと思っています。
リハビリのために落ち着いた部署へ行って少しずつ復帰、という道は確かに理想ではありますが、そのために無理をして体を壊していては本末転倒ですもんね。
まずは無理を避けて自分を守ることが大切。
逃げるは恥だが役に立つと、どこぞのことわざでも言われています。
もちろん、どの選択肢が負担になって、どの選択肢が楽か、というのは人によって違うと思います。
休職中の生活を負担に感じないのであれば、とりあえず休職を継続しまくって決断を保留しておくのもよさそうですよね。
どんな選択肢を選んでも、どこかしらに向かって人生は転がっていくもので、その行き着く先の良し悪しは予測できません。
半ば衝動的に、逃げるように定職を捨てたぼくも、なんやかんやで今のところそれなりに楽しくやれているのです。